2011年8月3日水曜日

ISRE&AASP

7月末に2つの学会に参加し、発表をしてきました。



まずは、京都ガーデンパレスで開催されたISRE (International Society for Research on Emotion)。後述のAASPと重なってしまった上に、前週の台風に伴う暴風警報で授業が飛んでしまった分を片付けざるをえなく、自分が発表したセッション以外、研究発表をほとんど聴くことができませんでした。それでも阪大の石黒先生のアンドロイドの話を初めて生で聴くことができ、しかも実際に遠隔操作されたアンドロイドとインタラクションできる機会に恵まれ、これはとてもよかったです。ただ、石黒先生の話は、最後、人間としてのミニマムデザインをもったアンドロイドの話になり、これをいとおしそうに抱えたお年寄りの姿が映し出されたのですが、ちょっとこれは皮肉めいたエンディングのようにも思えました。人間としての容姿が大切であるという前提で話を進め、いかに不気味の谷を超えるかという点も含め、人間の体の動きや顔の動かし方の自然さを追求しているにもかかわらず、結局のところ対称性を確保したシンプルなデザインに行きつくというのは、もちろんそれ自体成果の1つですが、ただ、じゃあそれまでの話における執拗なまでの人間らしさの追求とは一体何だったのかという問いがつい浮かんでしまいます。



次は中国・昆明で開催されたAASP (Asian Association of Social Psychology)。実はこの学会に参加するのはかれこれ10年以上ぶりです。今回、The Michael Harris Bond Awardというのを頂くことになりまして、Invited Addressの一部として、昔やったStroopの話から最近の笑顔の消失の話まで、これまでの研究の一部を話す機会に恵まれました。行きの昆明空港からのタクシーでコンタクトレンズをなくすというハプニングもありましたが、アジア人として文化心理学を牽引している、Yingyi Hong、Kaiping Peng、Eunkook Suhらの話を聴くことができ、知人の研究をキャッチアップできたのはよかったです。特にYingyiやCY Chiuらの学生は、香港やシンガポールをバックグランドにしていることもあり、英語ができるので、感心した半面、正直なところ日本の研究者もどんどん発信していかないと、本当勝ち目ないなあという危惧も感じました。無論自戒を込めてですが、たとえ「たかが」と思っても、そこで存在感を示さない限り、どこからも相手にされないんじゃないでしょうかね。

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