2012年9月24日月曜日

お知らせ

現在、日本学術振興会の外国人研究者招へい研究者事業で、バージニア大学の大石繁宏先生が神戸大学大学院人文学研究科にいらしています。大石先生とは1本共著の論文がありますが、これを機に一緒にまた研究ができることを楽しみにしています。

2012年9月21日金曜日

再び山元町へ行く

7月下旬にICP (International Congress of Psychology) でケープタウンに行き、へとへとになって戻ってきた後、勤務先&実家の雑事に次から次へと巻き込まれていたら、ものの見事8月は去っていき、9月になってしまった。このままぼーっとしていたら、10月になって学期が始まり忙殺されるのは目に見えているので、日本心理学会の大会と入試関連の業務の間の空白を狙って、バスツアーに参加し、再び山元町に行ってきた。今回は、畑の整備をした。前回、側溝の泥かきをしたときに近くで目にした建物のそばだったので、見慣れた景色だった。ただし前回は2月で、前日に大雪が降ったため一面銀世界だったが、今回その更地には草が生い茂っていたので、その点は大きく異なる。とはいえ、かろうじて残った家がぽつぽつとあるだけで、相変わらず更地のままであることがどうもつらい。ここが以前どのような景色であったか全く知らない私にできるのは、貧困な想像力から典型的な田園風景を思い出し、それを当てはめることぐらいで、とはいえきっとその風景とは異なる風景だったんだろうなあと思うと、思考がそこで止まってしまうので、つらいとしか言い様がなくなってしまう。元々そこに住んでいた人たちはこの風景をどういう気持ちで眺めるのか、これまた貧困な想像力を働かせても、やはりつらいとしか言い様がない。外の人間の単なる感傷かもしれないが、つらいという言葉以外にどう表現していいかわからない点に、復興とは一体何なのか、考えさせられる。

2012年9月3日月曜日

日本心理学会第76回大会でのワークショップ

今年の日本心理学会第76回大会(専修大学)で、以下のワークショップを企画しています。もしよろしかったら、ぜひご参加ください。

9 月11日(火) 15:30~17:30
WS035  幸福感研究の多面性-社会構造、対人的側面、神経基盤-
企画者:石井 敬子 (神戸大学)
企画者:内田由紀子 (京都大学)
司会者:内田由紀子 (京都大学)
話題提供者:大石 繁宏# (ヴァージニア大学)
話題提供者:内田由紀子 (京都大学)
話題提供者:松永 昌宏 (生理学研究所)
指定討論者:大平 英樹 (名古屋大学)
指定討論者:石井 敬子 (神戸大学)

企画趣旨
かつてある小説家は、「何が幸福をもたらすのかを探し求めたら、決して幸せになれない」と述べた。にもかかわらず、幸福とは何か、幸福はどこからくるのか、誰が幸福なのかといった問いは、時代や文化を超え、普遍的に存在し続けている。こうした問いに答えることを目的とした幸福に関する実証研究はこの数十年の間に急速に進み、その結果、幸福感に寄与する個人内の要因や対人関係の有り方、社会経済的地位や収入およびそれらの格差との関連について深い理解が得られてきている。また、近年ではGDPに代わる社会的成長の指標として注目を集めており、幸福は個人のみならず社会の目標といっても過言ではない。本ワークショップでは、幸福に関する研究の多面性に焦点を当てる。社会構造、対人的側面、個人の神経基盤に注目した話題提供とそれらに対する指定討論を通じ、社会科学の諸分野や神経科学における今後の幸福感研究の可能性について議論したい。

2012年6月1日金曜日

大学院オープンキャンパス

7月11日(水)午後3時から、神戸大学大学院人文学研究科のオープンキャンパスが開催されます。詳細は、こちらをご覧ください。 少しでも比較文化研究に関心があり、大学院でもう少し学びたいという方、ぜひ一緒に研究をしましょう!

2012年4月14日土曜日

出張があったり、体調を崩したりしていて、気づいたらもう桜が散り始めていました。それでも何枚か神大の桜の写真をとってみました。



2012年4月13日金曜日

授業

心理学演習は、2年前の内容に立ち返って、再度トマセロを中心とした構成。あと、以前書評を書いた今井先生の本も少し用いる予定。

Michael Tomasello "Origins of Human Communication" [Amazon]
今井むつみ 「ことばと思考」[Amazon]

2012年3月20日火曜日

10年

「あれから40年」といえば、綾小路きみまろの十八番。もしも40年後に私が生きていて、何かの調子に「大地震に大津波で福島の原発がやられ、放射能が飛び散りました。あれから40年!」とその調子にのせたフレーズを言うことができたら、若くてかわいい母ちゃんが皺皺婆さんになってしまいました的なオチで笑えることのできる世の中であってほしい。とはいってもそんな世の中、全く想像ができないけど。

40年はおろか、10年だって何も想像はできやしない。これから10年先の研究パラダイムの見通しはつかないし、そもそも10年前に、例えば私の分野であれば、Cultural Neuroscienceなんて言葉が出てくることは誰も想像していなかったに違いない。ちょうど10年前に、私は初めて職を得て北海道に行き、その半年後に21COEプログラムが始まったのだけど、それから月日が経ち、その後続のグローバルCOE総括シンポジウムとやらで、こんなに社会心理が脳科学と接近してしまうなんて、誰が想像していたのだろう。元指導教官、北大の2人の上司といった日本人の社会心理学者の(個人的な)ビック3が、こぞって脳科学に手を染めるなんてことをもしも10年前の私が知っていたら、おそらくその時点で研究の方向性をがらっと変えていたのではないかと思う。

ただ幸か不幸か、楽しくもあり、恐ろしくもあるが、ともかくこの先の10年がどうなっているのかは誰にもわからない。有難いことにその点に関しては、誰もが平等である。研究者として、自分を信じて、やりたいことに向けて邁進するしかない。その過程でどういった人と出会い、どういったチャンスがあるのかわからない。せいぜいできるのは、過去のさまざまな経験を振り返り、そこでの学習をもとにしていくことぐらいかもしれない。この10年間を振り返ったときに、どんなことを私は学んだのか。いろいろな感情に押し流され、学び損ねたこともたくさんあることに気づかされる。とはいえ、出会いもチャンスも平等に巡ってくるというのは建て前で、その巡り合わせが個人の努力だけでは如何ともならないことを経験的に知り、その結果として、目の前の大海に飛び込んで、我流のクロールで実に効率もフォームも悪いながらも何とか泳ぐことができているというのは、10年間の学びの結果だと思う。さて次の10年、我流のクロールでどこまで進むことができるのだろう。もしかしたら効率やフォームが改善されるかもしれないし、もしかしたら力尽きて果てるかもしれない。繰り返しになるがそんなのは誰にもわからない。楽しくもあり、恐ろしくもある。

2012年2月29日水曜日

第5回日本感情心理学会セミナー

第5回日本感情心理学会セミナーでトークをする予定です。詳細な案内は以下の通りです。ぜひご参加下さい。

■テーマ:「日本人と心理療法-感情をとりまく遺伝子・脳・身体・文化-」
■日時:2012年4月7日(土)、13:30~16:30
■会場:同志社大学新町キャンパス臨光館207教室
■講師・タイトル(敬称略):
企画・司会:佐藤健二(徳島大学)
話題提供者:
石井敬子(神戸大学)「感情の認識における遺伝子と文化環境の相互作用」
村上裕樹(ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校・日本学術振興会)
「感情制御の生理学的メカニズムと遺伝子多型による影響」
大澤智子(兵庫県こころのケアセンター)「「こころのケア」再考-これからのこころのケアについて考える」
指定討論者:大平英樹(名古屋大学) 金築 優(帝京平成大学)
■費用:会員(一般):1000円, 会員(大学院生):無料, 非会員:1000円
■関連情報は日本感情心理学会HPに掲載します。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsre/index.html

2012年2月27日月曜日

山元町へ行く

採点、院入試、口述試験が終わり、時間に余裕ができたので、先週末の前期試験の試験監督を終えたその足で仙台に向かい、山元町で側溝の泥出しのお手伝いをしてきた。昨年の夏まで立ち入りが制限されていたせいで復興が遅れているのに加え、約1年経ち、一度この土地を離れたものの再び戻り、ここでの生活を望んでいる人たちがそれなりにいるため、ボランティアの手伝いがまだまだ必要とのことだった。

各人が自分のもっているリソースと相談し、余裕のあるときにそれを差し出していくしか、残念ながら道は開けない。非力な自分につい嘆きなくもなるが、たとえ単なる自己満足であろうとも、嘆く前にまず行動しなければ何も始まらない。

ほぼ日刊イトイ新聞「山元町と手をつなぐ。」

2012年1月17日火曜日

卒論など

新年もあっという間に半月が過ぎてしまいました。その間に、卒論の〆切があり、私の指導学生4名が無事に提出しました。タイトルは以下の通りです。

・モノのカテゴリー化における言語相対性仮説の検討
・発達と感情理解の仕方の比較文化研究
・change blindness課題遂行中の眼球運動研究~注意の向け方に文化差は存在するのか~
・発達段階における文化的価値についての比較研究

昨年の12月には岐阜聖徳大学で、そして先週は関西学院大学で、最近行っている研究を紹介する機会に恵まれました。関係者の皆様、どうもありがとうございました。有意義なご意見をいただくことができ、本当によかったです。関西学院大学でのトークについては、このページで概要を見ることができるようになっています。

今年も何卒よろしくお願いします。これまで同様、貪欲かつ地道にやっていこうと思います。